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用語集

根管治療に関する用語を解説します

歯髄温存療法

歯髄温存療法とは

歯髄を抜いてしまうと歯の寿命が短くなってしまう(割れやすくなる)という観点から、歯髄を保存するための治療を歯髄温存療法といいます。歯髄は非常にデリケートなため、ひとたび露出しただけでも近年まで保存が難しい器官でしたが、バイオセラミックセメントという薬剤の開発により、歯髄を温存する治療が可能になりました。

 

※歯髄とは

歯髄(しずい)とは、一般的に「歯の神経」と呼ばれる器官です。歯の根管内を通っていて、神経線維や血管などで構成されています。

 

 

歯の内部構造と歯髄

歯髄を温存するメリット

歯の強度を保つことができる

歯髄を取り除くためには、歯の表面に穴を開けたり、根管の象牙質の一部を削ったりするので、強度が弱くなり割れやすくなります。抜歯になった根管処置歯の20%に破折が生じているとの報告もあります。

神経と血管を温存できる

歯髄に含まれている血管は、全身の血流と繋がっていて、歯に酸素や栄養を運びます。そのため、歯が本来持っている強度を保持することができます。歯髄に含まれている神経は、歯の何らかの刺激やトラブルがあった時に感知する役割を持ちます。

では、なぜ歯科医は「歯の神経を抜きましょう」と提案するのでしょうか。

歯髄を除去(抜髄)するメリット

歯の痛みを和らげる

歯髄に炎症が起きると、歯髄に含まれている神経細胞を通じて、歯の痛みを知覚します。歯髄を除去することにより、歯の痛みを和らげることが可能です。

細菌感染をこれ以上拡大させない

歯髄には血管が含まれているため、歯髄が感染・壊死してしまうと新鮮な血液が流れなくなり、感染があごの骨全体までめぐることがあります。歯髄を除去することで、細菌感染の拡大を予防します。

 

※歯髄を除去する治療については、用語集「抜髄」をご参照ください。

 

歯髄が温存できるケース・できないケース

近年まで保存が難しかった歯髄。これが保存できるようになったと聞くと、歯髄を残したいという気持ちは多くの方が抱くと思います。私自身、なるべく残していくという方針で治療にあたっていますが、実際、どんな歯でも歯髄を温存できるとは限りません。最終的には、歯の内部を見たり症状を確認した上で温存できるかどうかの判断をします。具体的な治療方法について見ていきましょう。

覆髄法(ふくずいほう)

どんな時にする治療か

従来の治療では、歯髄に細菌感染がなくても、歯髄が露出しただけで歯髄を除去していました。覆髄法(ふくずいほう)は、歯髄の露出が小さく自発痛を伴うような細菌感染がない場合に行なう治療法です。

覆髄法で用いる機械:マイクロエンド

う蝕検知液(むし歯を検知すると染色する液)を使用して、マイクロスコープで見ながら歯の切削量を最小限にします。

根管治療で使用するマイクロエンド。治療箇所の視野を鮮明にします。

覆髄法に用いる薬剤:バイオセラミックセメント

バイオセラミックセメントは、封鎖性・抗菌性・生体親和性に優れている薬剤で、これを使用することにより歯髄の保存が可能になりました。保険適応外なので、取り扱っている歯科医院は限られますが、当院では患者さんの治療の選択肢を増やすために取り扱っています。また、治療の成功率を高めるために、状況に合わせて数種類のバイオセラミックセメントを使い分けています。

治療にかかる費用と日数

覆髄法は、事前に検査し、治療1日目にバイオセラミックセメントを入れ、その後の経過観察で歯髄の生活反応を確認して正常値がでれば終了となります。覆髄法に必要な検査と治療の通院回数は3回です。その後、歯冠修復(多くの場合クラウン)に入ります。

バイオセラミックセメントを使った覆髄法は自費診療です。費用はその医院により異なりますが、当院では5万円~8万円(税込)が目安です。

保険適応の覆髄法について

保険診療でも水酸化カルシウムという薬剤を用いる覆髄法により、歯髄温存をできる可能性があります。しかし成功率があまり高くありませんでした。いつの間にか神経が死んで、自覚症状が出た時には大きく腫れて強い痛みが出てしまうこともあります。

 

専門医について

歯髄の治療は、歯内療法という治療分野に入ります。専門医の診察を受けるには、保存治療専門医(または根管治療専門医)をお探しください。

 

関連リンク

歯科医院で抜髄を提案された方の相談メール一覧

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