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根管治療の保険診療と自費診療は何が違う?

根管治療の保険診療と自費診療は何が違う?

本ページは、根管治療専門医院に初めてきた患者さんと根管治療専門医の対話形式でお送りします。

こんにちは。初めてなんですけど・・・

ご予約のお名前をお願いします。

中丸ですー。娘が検査の予約してくれたはずやねんけど。

こんにちは、歯科医の橋爪です。

こんにちは。先生、早速本題なんですけど、もぅ今週に入ってから歯が痛くて痛くて。昨日も夜眠れずに痛みを耐えてました。検査していただけますか?

はい。検査の中身はホームページなどで見ていますか?

娘が見ているので、大丈夫です。

では検査しましょう。こちらでCTを撮ります。

・・・5分後・・・

CTを確認したんですけど、前回神経を治療したところから細菌が入って膿ができてしまっているようですね。

先月引っ越す前に大阪で治療したんですけど、そこでの治療が原因ということですか?

歯の根の治療は難易度が高いので、一度の治療で終わらないことも珍しくないんですよ。

そうですか。こちらで治療できますか?

できます。受付で予約を取ってください。次回は1時間半くらいで根管をキレイにします。

わかりました。今回も1回で終わらないと思った方がいいということですか?

おそらく前回は根のクリーニングに何回も通院したかと思うのですが、当院は歯の根の治療の専門医院なので、根のクリーニングは通常1回で終わりますよ。

えっ?先生なんて言いました?

クリーニングだけなら、1回で終わりますよ(笑) 根管治療の専門医が専門の機械を使って治療しますので。
【根管治療1回目】では、歯の根管をキレイにお掃除します。
【根管治療2回目】では、根管に詰め物を充填します。
【ポストコア】今回は奥歯なので、ポストコアという土台を作ります。
これで基本的には当院の治療は完了です。それから経過観察をして、問題なければかぶせ物の治療です。かぶせ物の治療はウチではやっていないので、提携のところを紹介したり、ご近所の歯科医院に行ってもらったりします。

ほー。早いですね。で、専門って何ですか?

一般歯科と専門歯科

歯科には、一般歯科と専門歯科の二種類があります。一般的な歯科では、むし歯、健康診断、入れ歯など色々やりますよね。保険診療がメインとなります。

私が引越前に行ったところもそうです。

日本にある9割以上の歯科は一般歯科です。幅広い患者さんを診て、専門技術が必要なら専門歯科や大学病院に紹介状を出します。

専門歯科は?

専門歯科は、設備や器材を限られた治療分野に最適化してあります。歯科医師も専門分野を勉強した歯科医師が、さらに専門分野の経験を積んでいきます。保険適用外のものを多く扱うので自費診療となります。

根管治療専門歯科の治療内容は何が違う?

ウチでは、検査も治療設備も歯の根の治療にあったものにしています。歯内療法(しないりょうほう)とか根管治療(こんかんちりょう)というのが専門分野の名前です。

で、どうして大阪では何回も繰り返した治療が、こちらでは数回で済むんでしょうか?

まず、専門医院なので、根管治療が予定通りうまくいくための検査・設備・器材を使ってあれこれ工夫しています。
また、根管治療の研究が進んでいるアメリカでは、根管のクリーニングから充填までを1回ないし2回の少ない回数で終わらせた方がより早く治ると言われています。当院を開いた2012年から2020年の今までの実績でも2回法が最も早いことが分かっています。特に1回目の根管治療でじっくり時間をかけて完全に根管をキレイにして、汚れの取り残しをなくすことが大事です。

もしかして、海外の最先端治療ってやつですか?

最先端というとオーバーな感じですが(笑)、まだ日本の保険診療では適用外のものを使っています。安全性については、アメリカやヨーロッパの学会で実績が認められている機材や材料を使っているのでご安心ください。
ちなみに、アメリカでは根管治療を専門歯科で受ける、というのがポピュラーなんですよ。

根管治療専門歯科の検査設備

まず、保険診療だと、治療前検査は多くの場合レントゲンです。でも、レントゲンは写真と一緒で2次元なので、根管が何本あるか、どのような形なのかを把握できない場合があります。

レントゲンって、あの白黒のヤツですよね?確かにわからないですねぇ。

根管治療専門歯科では、通常のレントゲンでわからない部分に関しては、3次元で撮れる歯科用CTを使っています。

CTって、どこかで聞いたような・・・

病院に行くと内科でよく使っていますね。

なるほど。それで根管が何本あるかわかると何がすごいんですか?

歯科用CTで大事なのは、全体像を把握することと、根管がどこまで続いているのかを確認することです。根管は湾曲していることがあるので、すべてが見えるとは限りません。従来の根管治療では、見えない部分を想像力で補って治療します。

CTがなかったら、なんとなく治療している感じなんですねぇ。

うーん、言い方によってはおっしゃる通りかもしれませんね。

根管治療専門歯科の顕微鏡治療とラバーダム防湿

あとは、保険適用の歯科とココでは何が違うんですか?

一番違うのは、顕微鏡です。

ケンビキョウ?小学校でプレパラートとかやるやつですか?

そうです。あれは対物顕微鏡で、これは実体顕微鏡なので、厳密にいえばちょっと違います。歯の根のところを直接顕微鏡でのぞきこみます。



歯の根は、例えていうなら、歯を削ったさらに奥にある細いトンネルです。肉眼で口の中を覗き込んでも暗くて細かくてよく見えません。顕微鏡で見た写真がこれです。



二枚目の写真では、根管に入っているヒビが鮮明に映っています。

ほぉ。細かいところまで見れるんですね。これも保険適用外ですか?

そうです。アメリカの根管治療専門歯科だと当たり前にあるんですけど、日本ではまだまだモニターを見ながら治療するというスキルを持っている歯科医師も少なく、普及率は10%前後だそうですよ。

顕微鏡で歯の中をのぞかれると、口を開けるコッチは大変ですねぇ。間違えて口を閉じちゃったら大変なことになります?

ごもっともな不安です。でも大丈夫ですよ。治療時は、お口を開けるのが楽なようにブロックで固定してから、ラバーダム(薄いゴムシート)で治療する歯だけを出します。ですから、アゴの力を抜いていて大丈夫ですよ。



それに、ラバーダムは治療中に唾液や細菌が入ってしまうのを防ぐ役割もあるので、根管を無菌化する治療には欠かせません。

それなら安心ですね。ベロが傷つけられることもなさそうですね。

その通りです。

他にも違うことはあるんですか?

根管治療専門歯科で使用するファイル

根管内を洗浄するための器具を「ファイル」、つまりやすりですが、それが違いますね。

もしかして、歯医者さんが楊枝みたいなのを歯に入れてギコギコするヤツですか?

そうです。根管内の細菌を取りのぞくのに使用するんですが、保険適用だと硬いステンレスのものを使うことが多いのですが、根管治療専門歯科の多くはチタン製のファイルを使っています。

どっちも金属ですね。

その通りです。でもチタンはしなやかに曲げることもできるので、湾曲した根管にもフィットして治療することができます。

ステンレスだと硬くて痛そうですね。

たしかにステンレスは硬くてしならないので、柔らかい根管内を傷つけてしまうリスクがあるので、注意が必要です。かといって、しっかり汚れを取り切らなければ、そこから再感染を起こしてしまいます。
うちでは、電動モーターでファイルを動かして、一定の負荷がかかると自動停止するようになっています。そうすることで根管内をしっかり清掃しながら、削りすぎないようにしているんです。

この間、手でギコギコされた時は、傷つけられてしもたかもしれませんねぇ。

可能性としては大いにあります。それでいて、取り残しがあるために、再治療となることもあります。

根管治療専門歯科の充填物について

他にも、これは!というのはありますか?

根管を洗浄した後は、根管充填をするんですが、充填剤でいいものが使えるのが自費診療のいいところです。保険ではガッタパーチャというゴムを詰めるんですが、自費診療では骨の再生機能があるMTAセメントを併用して使うことができます。根管に開いた小さな穴でもMTAセメントなら完璧にふさぐことが可能です。ガッタパーチャだけでは塞ぎきれないので隙間から再感染してしまい、抜歯になってしまします。

うちの親はそれで抜歯になったんやろな~

科学は進歩していますね。ちなみに、最近ではより純度が高いバイオセラミックセメントが開発されたので骨の再生能力はさらに高くなっています。アメリカの高名な先生は「神様からの贈り物」とまで呼んでいますよ。

保険診療と自費診療の治療成功率

う~ん。先生の話を聞いていたら、保険診療で治療がうまくいくことのほうが奇跡なように思えてきますわ。

奇跡というよりは、もっと確率高いと思いますよ(笑)
実際、学会のデータで保険診療における再感染率のデータが発表されたんですが、それを見ると、歯の場所によって数値は変わるんですが、大体50%の割合で再感染しています。逆を言えば、治療の成功率は50%ということですね。

そうですか。中にはなかなか治療が終わらないというケースがあってもおかしくないわけですね。

中丸さんの場合は、根管の本数が多くて、湾曲しているものもあるので、難しい症例だと思います。それでもヒビが入っていなければ、ウチでは80%の確率で根管治療で治ります。

そこは100%ではないの?

2012年に当院を開院してから、根管治療で治ってから再感染した患者さんは0件なので100%になるかもしれません。ただ根管治療で治らなかった30%の人は歯内療法外科で完治します。

ほんまに、100%に近いんですね。

医療なので絶対はありえません。あと、歯の根を開けてみて、ヒビが入っている方は特別な治療が必要ですけどね。

私はヒビ入っていそうですか?

開けてみないと絶対はありませんが、レントゲンとCTで見えるヒビはないようです。

根管治療専門歯科の費用について

ここまできて、先生に聞いてないことが一つあるんですけど

なんでしょうか?

そんなえらい機械で治療してもらって、おいくらほどするんですか?

中丸さんのように大臼歯の場合は1本25万円+消費税かかります。ちなみに、その上につけるかぶせ物はウチではやっていないので別料金です。

に、にじゅうごまんえん!?娘が払ってくれる言うので、値段のことを聞いていなかったんで、驚いてしまいました。近所の500円のご馳走ランチに何回行けるのやら・・・ア、すみません、こちらの話です。

お母さん想いのお嬢さんですね。

場違いなところ紹介されてしまったかも。。。セレブみたいな世界ですね。

いえいえ、来ているのは一般人の方ばかりですよ。

私なんかは、25万円ポンと出せないですよ。

ボクだって、25万円の出費はうんと悩みます。それでも、歯にお金をかけてしっかり自分の歯を残すことで、日頃の歯磨きやフロスを丁寧にするようになったら、お値段に見合った価値があると思いますよ。

たしかに、保険は安いって言っても、何べんも通って、かれこれウン万円払ってるし、それでも治療が終わっていないことを考えると、何が安いかわかりませんね。

お嬢さんは、中丸さんがまだまだご自身の歯で美味しい食事をしてほしいと思われたんじゃないでしょうか。元気で長生きするには、しっかり歯で噛んで食事しないといけませんからね。

あの子も口うるさいけど、いいところがあるんですかねぇ。

いいお嬢さんをお持ちですね。私からもよろしくお伝えください。

ありがとうございます。
そうそう、根管治療専門医についても教えてもらえますか?

もちろんです。では「根管治療専門医の活用法 ~歯科専門医との付き合い方~」でお話ししましょうね。

よろしくお願いします。

本ページの続きは、「根管治療専門医の活用法 ~歯科専門医との付き合い方~」をご覧ください。

橋爪院長が治療を行っている根管治療専門医院は、橋爪エンドドンティクスデンタルオフィスです。(公式サイト)

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